ドメーヌ・タカヒコ ワイナリー&ぶどう畑見学 北海道余市

ワイン
北海道ワイナリー巡りにて、余市・登地区にある『ドメーヌ・タカヒコ』を訪れてきました♪
こちらのワイナリーは基本的にワイン関係者以外の見学は受け付けていないのですが、僕がソムリエである事と色々日本ワインを応援しているという事で特別に見学させていただきました(^-^)
この余市で2番目に設立された『ドメーヌ・タカヒコ』は言わずと知れた入手困難の大人気ワイン『ナナツモリ』を造るワイナリーとして有名で、
代表の『曽我貴彦』さんは多くの現在活躍されている栽培家の兄貴的存在で、この余市が日本で最も勢いのあるワイン産地になった立役者であり、多大な影響と功績を持った方です(*^-^*)
ご実家もまた日本を代表する長野県『小布施ワイナリー』で、
日本ワインの発展に多大な影響を与えた栃木県『ココ・ファーム・ワイナリー』では現在の『10Rワイナリー』の代表『ブルース・ガットラヴ』さんと共に素晴らしいワインを生み出し続けた方でもあります(*^0^*)
またイギリスの雑誌『世界のベストレストラン50』で何度も世界一に輝き、世界で最も予約困難なレストランのひとつといわれているデンマークのレストラン『ノーマ』が『ドメーヌ・タカヒコ』のワインを採用したことも有名な話(*´ω`*)
とにかく非常に話に引き込まれて、2時間くらい色々なお話を聞かせていただきましたが、全く中だるみもなく例え話も上手くて時間を忘れるくらい楽しい時間を過ごせましたo(*^▽^*)o
まずは余市のブドウ栽培の歴史から始まり、一帯のリンゴ園を伐採して『木村農園』が初めてピノ・ノワールを植えて、ヨーロッパ系品種のブドウ栽培が広がった話から、
ドイツ系品種が主流だったのは、ブルゴーニュ品種を植えても当時はブドウ品種で金額に差があった訳ではなく、手間が掛かるのにお金にならなかったことや気温が寒すぎたことなどで、寒さに強いドイツ系品種は安定して収穫できたこと、
『曽我貴彦』さんが北海道に来た最大の決め手は積算温度で、ブドウ栽培を始めた時はリージョンⅠ(エリア区分の事で、Ⅰが1番寒くて数字が上がるほど温暖になります)とシャンパーニュやブルゴーニュ北部などと同じくらいだったこと、
温暖化の影響でブルゴーニュなども積算温度が上がっている中、余市は温暖になっているとはいえ、一昔前のブルゴーニュくらいの積算温度なので、理想的な環境になっているのではないかと仰っていました(^-^)
今は余市のテロワールを表現したワイン造りをしていますが、
貴彦さんが北海道に来た当初は目指せブルゴーニュといった考えもあって、積算温度をとても重要視していて、本州では標高の高い所しかなく、それでも積算温度がまだ高い所が多かったり、雪解けが早かったりだったので、
標高が高くなくて安定した場所を探した時にこの余市に行き着いたとのこと(・▽・)
余市はパウダースノーで雪質が良く、4月まで雪が解けないので、安定して雪で木を隠して冬を越せるというのがこの地域の強みで、
もう一つの北海道の代表的産地・岩見沢は雪の量もばらつきがあって最低気温が低いことによる凍害の心配がある、
余市の方が海が近くて安定して雪が降ることと最低気温も凍害を受けるほど下がることはない、
ただ寒暖差や風は岩見沢の方があるので条件さえ整えば余市よりも良いブドウが出来ますが、
これも余市の方が色々と安定しているので、年によって素晴らしいものが出来るのを取るか、平均して安定を求めるかの違いで一長一短あると仰っていました(^▽^)
函館は一番ブルゴーニュに近い環境で、冬は雪が降らなくても凍害にあうことはなく、「やませ」が吹くので夏は冷涼で、余市と岩見沢と函館は積算温度は同じくらいだそう(^-^)
函館は南側に海を背負っていて立地としては良いけれど海風の影響を受けやすく、
余市は北側に海を背負っているので、この点はマイナスではあるものの、何故果樹の産地として栄えた歴史が長いのかというと逆に海風が吹かないという利点がありました(^o^)
ドメーヌ・タカヒコ』では栽培ブドウ品種はピノ・ノワールのみで約4.6ヘクタールに9000本ほど植えられていて、クローンは『MV6』を中心に約13種類あり、
ひとつのクローンを中心に考えるとリスクがあることと、クローンそれぞれで熟すタイミングも違ってくるので大体2週間くらいかけて少しずつずらして収穫できるメリットがあります(・▽・)
栽培はビオロジック(有機栽培)で、必要最低限、ベト病を防ぐ有機栽培認定の農薬のボルドー液を用いていますが、ボルドー液は有機農薬ですが唯一銅が土壌に残りやすく、人間に害はないのですが水質汚染などに繋がるので、近年ヨーロッパを含めて世界的に問題視されているのですが、日本では一回で濃い薬剤を散布するのではなくて薄いものを回数を分けて散布するのが主流になってきているとのこと(^o^)
獣害や虫の被害は場所に恵まれているのでほとんどなく、さらに耕起すれば虫の発生を抑える事ができるとのこと(^-^)
日本ではブドウの木は横に伸びていくことが多いので、根を深く張るように両サイドに爪を入れて下へ根が行くように工夫しています(・▽・)
日本は確かにずば抜けて雨が多い国ですが、ヨーロッパもブルゴーニュ含めて有名な産地は意外と雨が多く、
雨の少ない地域は不耕起で草生栽培が多いですが、
雨が多い地域は意外と耕起しているので、日本は耕起した栽培方法が向いているのではないかと考えていること、
日本は雨が多いと散々馬鹿にされてきたけれど、冷静に考えれば世界でも大量生産している地域は雨が少ない地域で造っていますが、何故かというと広大なブドウ畑の管理が楽になるからですが、
ブルゴーニュのように簡単に真似できない魅力のあるワインを造っている地域は雨が多く、草も育って微生物も多く土も豊かであるから深みのあるワインが出来るのではないかと仰っていました(*´▽`*)
表土も重要視していて表土がないと味が乗らず、旨味がないものになってしまうので、これも特級畑などにはほぼ必ず表土があるからブルゴーニュのグランクリュの熟成したワインにも旨味があるし、日本は旨味の文化だからこれをもっと強みにしていけばいいんじゃないかと考えているとのこと(・▽・)
有機栽培の大切なところはウチだけが出来るのではなく、みんなが出来なければ続かないし意味がないと思っていて、
楽できるものは楽をしながら続けられるというのが大きな目的なので、貴彦さんの考えではストイックな事をするつもりはなく、
実際夜遅くまで何か作業をする事はなく、健全な生活が送れているので、このスタイルをどんどん広げていくことが理想と仰っていました(*^-^*)
土を固めたくないのでボルドー液などを巻く時はキャタピラタイプのものを使って巻くことや(キャタピラタイプの方がタイヤの約4分の1しか負荷がかからないのです)
剪定は北国なので短梢剪定が一般的ですが、色々試行錯誤の結果、最近はシャンパーニュの剪定方法で栽培されています(^▽^)
栽培についてはやはり常に学ぶ事があり、日々勉強だと仰っていました(´∀`*)
クローンは実績のある『MV6』を中心に植えていますが、酸については『ディジョン』系のクローンは落ちやすく、逆にシャンパーニュ地方などの寒い地域のクローンが残りやすいこと、
それぞれのクローンはやはり全て熟してから収穫するのかを聞いてみたところ、
ブルゴーニュ的なものかカリフォルニア的なものなのか、何をもって熟したのかというのかは非常に難しいですが、雨が全然降らなかったり、ストレスがあると『ヴェレゾン(ブドウが緑から黒に変わる過渡期の事で、フランス語で色付きの意味)』が進んで色と糖度は出やすくなるので、どのタイミングの事を言うのかなどもありますし、
北海道の冷涼気候の特徴として11月近くになるとそれ以上熟さないし、寒くなるとブドウが水を吸い上げなくなるので雨の影響をほぼ受けないし、糖度も上がりやすくなることから、
収穫時期を雨が降ったからといって早くしたり遅くしたりすることはないとのこと(^-^)
続いて醸造所を見学させていただきました(*´∀`)♪
ドメーヌ・タカヒコ』のワイン造りのコンセプトは農家が造れるワイナリー( ´ ▽ ` )
テロワールをとても重要視していて、それは土や気候だけでなく、
大手ワイナリーの真似は農家の人たちでは出来ないけれど、逆に小規模の農家の人たちが何十軒も集まれば、面白いものが出来てそれがテロワールになるんじゃないかというのが貴彦さんの理論で、
お金をあまり掛けない、醸造家がいなくてもワインが造れる方法を自分が実践し、農家さんがどうしたらワインを造ってくれるかを考えていると仰っていました(*´ω`*)
なのでタンクはプラスチックタンクを使って、除梗はせず全房発酵(^▽^)
現実に今、貴彦さんの元から巣立って活躍されているワイナリーはみんな違う職業からブドウ栽培を始めているので、ワインについてのバックボーンがないのは弱点といえば弱点だけど大した事ではなく、
それ以上に伸びしろの方があるので何か障害にぶつかれば考えるべきだと思うし、もしかしたら手除梗してみたらこうなるかもなど、自分なりの考えはあれど、
とりあえず順調に良いワインが出来て売れている今、このスタイルを変えるつもりはないし変えてはいけないと思っていて、
もしまずいワインが出来て売れなくなったらその時考えますと笑って仰っていました(*^0^*)
タンクの容量は1000ℓ以上のタンクは持たないのですが、その理由はそれ以上だと農家の人が発酵管理が難しくなってくることと発酵が終わった時などの重さがはかりやすいから(^-^)
そしてポンプを使わずフォークリフトで持ち上げて作業するので、フォークリフトが持ち上げれる重量でなくてはいけないことなど、とにかくお金を極力掛けず管理しやすいやり方を一貫して考えて実践しています(*´▽`*)
これは白ワイン造りでも同様で、全房でタンクに入れて放置して収穫最終日にプレス、
『ブラン・ド・ノワール』も貴腐菌の付いたブドウをタンクに入れて放置して収穫最終日にプレスする(因みにブドウの出来が非常にいい時はブラン・ド・ノワールは造られません)、
亜硫酸も使わず、せいぜいヘッドスペース(液体とキャップや蓋の間の隙間)に窒素ガスなどを詰めるくらいととにかくシンプル(´∀`*)
この農家の人たちにワイン造りを広げるのには20年スパンで考えていて、自分だけが実践しても信用されないし広がらないから研修生たちにも伝えて広げて、
独立した人たちが引く手あまたになってくれて、あと10年くらいで農家の人たちに広がればひとつ自分の中の物語が完成するかな、と考えていらっしゃいました(*^▽^*)
さらに地域を元気にするためにここに住む子供の数を増やしたいので、そういった活動もしているとのこと(^▽^)
亜硫酸などの酸化防止剤を使わないワイン造りに対して農家の人たちは不安に思ったりしないのかを聞いてみたところ、
まず、農家の人たちにとってステンレスタンクなどを使った現代の造り方と漬物を作るような感覚で桶での造り方、どっちが伝わるかを考えた時に、貴彦さんは桶の世界を取ったとのこと(・▽・)
大手のように管理されたものを農家の人は作れないし、逆に農家の人のものはコストや管理の問題で大手は作れないと考えた時に、
そもそもお酒は発酵して造るものだし、日本は発酵文化の国なんだから出来ない訳ないし、そんなに難しくないはずで、
これについては特に『ブラン・ド・ノワール』で実践していて、要は貴腐菌と言っても腐ったブドウをタンクに入れて亜硫酸なしで放置して造って、ああいったワインができるのはまさに漬物の作り方と一緒で、
色んな菌がある中で素晴らしいものが作れるという考えを伝えるようにしていると仰っていました(*^-^*)
試飲では『ナナツモリ』の2018年と最新ヴィンテージの2020年を飲ませていただきましたが、2018年は思った以上に開いていて飲みやすくて非常に美味しかったですo(*^▽^*)o
ドメーヌ・タカヒコ』のワインは若いと硬さがあって飲みにくいと聞いていたのですが、これは意外でした(*´ω`*)
聞けば、理想は数年待ってもらって飲んでほしいと思っているけれど、やはりSNSなどを見ると出荷して発売されてすぐに飲んでいる人もいるので、今は早く開けても美味しくできるように意識はしているそう(^▽^)
生産者として、貴彦さんが考える飲み頃を聞いてみたところ、2014年までは天然コルクを使っていたのを2015年から『ディアム』のコルクに変えており、2014年のワインは今が飲み頃なのではないかと仰っていて、
ワインの飲み頃を10年スパンで日本の四季に例えて、若いワインは春のような若々しさを、熟成したワインには秋のようにキノコのような風味の熟成感を楽しんで欲しいと仰っていました(*’▽’)
本当に丁寧に面白く、話に引き込まれて勉強になり、お忙しい中時間を取ってくださって、素晴らしい時間を過ごせましたo(*^▽^*)o
〒046-0002 北海道余市郡余市町登町1395

ワイナリーの外観(*^-^*)

ワイナリー奥の美しく広がる『ピノ・ノワール』の畑の中央には『ドメーヌ・タカヒコ』の看板が立っていて、映えな絶景でした(´∀`*)

栽培ブドウ品種はピノ・ノワールのみで約4.6ヘクタールに9000本ほど植えられていて、クローンは『MV6』を中心に約13種類あります(*’▽’)

余市でのブドウ栽培の歴史から日本は確かにずば抜けて雨が多い国ですが、ヨーロッパもブルゴーニュ含めて有名な産地は意外と雨が多く、

雨の少ない地域は不耕起で草生栽培が多いですが、雨が多い地域は意外と耕起しているので、日本は耕起した栽培方法が向いているのではないかと考えていること、

日本は雨が多いと散々馬鹿にされてきたけれど、冷静に考えれば世界でも大量生産している地域は雨が少ない地域で造っていますが、何故かというと広大なブドウ畑の管理が楽になるからですが、
ブルゴーニュのように簡単に真似できない魅力のあるワインを造っている地域は雨が多く、草も育って微生物も多く土も豊かであるから深みのあるワインが出来るのではないかとなど、栽培に対する考え方なども詳しく教えていただきました(*^▽^*)

夕日に輝くぶどう畑がまた美しくて魅了されました(*´▽`)

『ヴェレゾン(ブドウが緑から黒に変わる過渡期の事で、フランス語で色付きの意味)』したブドウもまた美しい(^-^♪

畑の場所によって『ヴェレゾン』の進み方が随分と違って様々な表情を見せてくれました(*^ヮ^*)

有機栽培の大切なところはウチだけが出来るのではなく、みんなが出来なければ続かないし意味がないと思っていて、
楽できるものは楽をしながら続けられるというのが大きな目的なので、貴彦さんの考えではストイックな事をするつもりはなく、
実際夜遅くまで何か作業をする事はなく、健全な生活が送れているので、このスタイルをどんどん広げていくことが理想と仰っていました(*^-^*)

『ナナツモリ』が熟成されている木樽の眺めが壮観です(*´▽`*)

農家が造れるワイナリーをコンセプトにブドウ栽培が第一で醸造はとにかくシンプルにという考え方でワイン造りをされています(*^-^*)

『ナナツモリ』の2018年と最新ヴィンテージの2020年を試飲させていただきました(*^▽^*)

2018年は若いと硬さがあると聞いていましたが、思いのほか開いていて非常に美味しかったです(*^0^*)

タンクはプラスチックタンクを使って、除梗はせず全房発酵(^▽^)

タンクの容量は1000ℓ以上のタンクは持たないのですが、その理由は農家の人が発酵管理が難しくなってくることと発酵が終わった時などの重さがはかりやすいから(^-^)

そしてポンプを使わずフォークリフトで持ち上げて作業するので、フォークリフトが持ち上げれる重量でなくてはいけないことなど、とにかくお金を極力掛けず管理しやすいやり方を一貫して考えて実践しています(*´▽`*)

貴彦さんが考える飲み頃を聞いてみたところ、2014年までは天然コルクを使っていたのを2015年から『ディアム』のコルクに変えており、2014年のワインは今が飲み頃なのではないかと仰っていて、
ワインの飲み頃を10年スパンで日本の四季に例えて、若いワインは春のような若々しさを、熟成したワインには秋のようにキノコのような風味の熟成感を楽しんで欲しいと仰っていました(*’▽’)

『曽我貴彦』さんと記念撮影(*´▽`*)

とにかく非常に話に引き込まれて、2時間くらい色々なお話を聞かせていただきましたが、全く中だるみもなく例え話も上手くて時間を忘れるくらい楽しい時間を過ごせましたo(*^▽^*)o

以前にお願いして撮っていただいた写真(*^▽^*)

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